「ほんまもん」の宇治茶とは


山庄北村製茶場がある宇治白川地区では、鎌倉時代から茶が栽培されています。

15世紀前半に覆下栽培(ワラやよしずで茶園を覆う方法)が開発されて以来この地区では営まれており、毎年高品質なてん茶(抹茶のもとになるお茶)や玉露が生産されています。

白川のお茶が高品質なのは、地形的な理由もあります。宇治川が山地から京都盆地に流れ出す谷口にあたり、比較的浅く伏流水が流れる扇状地に立地しているのです。

排水性と保水性を兼ね備えた砂傑質土壌と昼夜の寒暖差により、茶木の大敵である霜を防ぐ霧が発生しやすい地形であり、お茶を育てやすい環境なのです。

そのような環境の宇治で、皆それぞれの思いを持ってお茶を作っています。この宇治市内で茶葉を摘み取り、生産されたお茶を宇治茶と呼べると思うのですが、実際のところそう単純ではありません。

全国の茶園の面積は約43,000ヘクタール。それに対して宇治市内の茶園の面積は約70ヘクタール。宇治市内の茶園面積は全国の約0.16%しかありません。

それなのに、全国の百貨店やスーパーでよく宇治茶を見かけるのはなぜでしょうか。その理由は、「宇治茶」という名前の商標登録内容にあります。つまり、奈良、滋賀、三重など他府県で摘まれた茶葉を京都府内で加工して、宇治茶と名前をつけて販売している。それが商標として許されているのです。

私は「宇治で採れたお茶こそが一番おいしい」などと言うつもりはありません。お茶は嗜好品です。人によって他府県のお茶が好きと言う方ももちろんいらっしゃると思います。

ただ、私たちが宇治で作っているお茶を「宇治のお茶」として知ってもらいたい。生産者によって個性のあるお茶を作っています。生産者の顔が見える茶葉をあじわっていただくためにはどうしたらよいか、ということを日々考えています。

出典、参考 http://ujicha.kyoto/japage/universal-values/

 

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シングルオリジンのお茶とは 


お茶屋さんや百貨店で購入できるお茶は、複数品種、複数の茶園・産地のお茶をブレンドして調合したブレンド茶であるケースが多いと思います。

宇治茶をブレンドする理由の1つは、1年間を通して均一な味のお茶を提供し続けなければならないからです。1年間そのお茶を「宇治茶」として売り続けるため、そもそも生産量が少ない宇治茶と他の品種、他の茶園・産地の茶をブレンドしなければ供給できないという側面もあります。

一方、「作り手の顔が見える」シングルオリジンのお茶とは、複数の品種・複数の茶園の茶葉をブレンドすることなく、単一品種、単一茶園にて製造され、販売されているお茶のことです。同じ品種の、同じ茶園の茶葉のみを使っているので、栽培品種や生産者、生産方法が明確なお茶となります。これが生産農家だからこそ提供できるお茶です。

茶樹の品種や、 生育される土壌や気候などの環境、製茶の仕方の違いなどにより 多種多様なキャラクターが作られ、様々な香りや味わいが楽しめます。

 

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茶葉のテロワールとは 


土地ごとの土壌や気候によって、お茶の味に大きく違いが出ます。テロワールとは、『土地(土、土壌、大地)の要素』、『気候要素』、『人的要素』を総合したお茶作りの環境を言います。

お茶の味に違いをもたらす要因は、土地の持つ性格の違いだけでなく、畑の位置による寒暖や陽のあたり具合、雨の量や風向き、湿度などの気候条件も大きく関与しています。

これらのテロワールの要素、生産家の個性がそのままお茶の味に反映されるので、シングルオリジンのお茶は毎年味が変化する。これもおもしろさの1つです。

 

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北村家による無農薬・無肥料の自然栽培への取り組み 


宇治市内の茶栽培において、各農家さんにより量は異なりますが毎年多少なりとも農薬や化学肥料は使用されております。

お茶のうまみ(Umami)を追求するあまり1940年代後半以降肥料の使用量が急速に増加を始め、1950年代の高度経済成長期には、昭和初期の約12倍の肥料を使用するようになりました。

大量の肥料が投下された土壌には、栄養を求めて害虫などがやってきます。茶木が害虫により病気になってしまうことを防ぐために農薬が使用されます。一度うまみの多いお茶に消費者や問屋さん、お茶屋さんが慣れてしまうと、次からも同じ味が要求されます。

農家は生活がかかっておりますので売れるお茶を作ろうと、また大量の肥料を投下し、農薬を使用するという悪循環に陥っていき今に至ります。現在宇治市内で生産されたお茶は、輸入食品の農薬規制の厳しい欧州や北米には輸出できないのが現状なのです。

そういった状況もあり、農薬も化学肥料も無しにお茶をつくったらどうなるのか、と考えるようになりました。さらに無農薬・無肥料の時代のお茶、昔の日本人が飲んでいたお茶ってどんな味なんだろう、それを現代に再現したい、そんな気持ちが自分の中で湧いてきました。

現在、北村家が保有している宇治在来種の茶園では無農薬、無肥料による自然栽培に取り組んでおります。自然の循環にすべてを任せているため、雑草や笹が元気よく生えてきます。茶木に土壌からの栄養を吸収させるため、週末の空いている時間で草刈をしています。大自然の中でこれらの手入れをお手伝いいただける方、大歓迎します(笑)

 

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絶滅が危惧される宇治在来種 


日本の茶産地には古くから種子で繁殖してきた在来種が栽培されており、その地方の気象条件や栽培方法によって独特の形質を示すことが多いと言われています。

宇治地方の在来種は宇治在来種と呼ばれ、丸葉で葉肉が厚いのが特徴。これまでに宇治在来種から選抜された優良品種は多く、きわめて重要な育種素材です。宇治在来種は、わが国の茶の育種に大きな影響を与えてきましたが、近年、宇治在来種の分布をみると、農地の宅地化や優良品種のさらなる開発によって、在来種の数が急速に減少しています。

特に、歴史的に古い在来種茶園が集中している宇治市では、1960年当時150ヘクタール近くあった面積が2000年には約20ヘクタールにまで漸減してきており、その消失が危惧されている絶滅危惧種です。

北村家では、樹齢300年以上(推定)の宇治在来種茶園(茶園面積約2反)を保有しております。さらに近隣には、農家さんの高齢化や跡継ぎがいないなど、人不足で耕作放棄された宇治在来種の茶園もあります。非常にもったいないな、と感じています。